Quantcast
Channel: 古代史の道
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1223

胡蝶蘭

$
0
0
日々つれづれ-12トップへ
 先日、英会話クラブの例会に出席した帰途、寿司屋に立ち寄った。例会後の夜食に必ずといってよいほど立ち寄るお馴染みの店だ。名古屋ないしその周辺の人なら耳にしたこともお有りかと思うが、旧御園座の近くにある東寿司(あずまずし)本店だ。
 入店していつもの席に陣取ると、目の前に実に美しい花が花開いていた。胡蝶(蝶の異称)が羽を広げた形をした花だ。内心密かに胡蝶蘭ではないかと思った。が、花、中でもランにうとい私に確信のあろう筈はなかった。眺めていると、胡蝶以上に胡蝶らしいピンクの美しい花だ。もしもこれが胡蝶蘭ならいっぺんに胡蝶蘭に魅せられ、胡蝶蘭ファンになりそうな気がした。
   洋ランは日本原産の花ならぬしかれどなにゆえこの地に似合う
   ひらひらとこの花なぜかひるがえるソメイヨシノに似て美しき
 ピンク系統という中間色系の花というのも私のお気に入りの色彩だった。
 気になったので、私は女店員に花の名を尋ねてみた。果たして花は胡蝶蘭だった。ランはずっと昔「育てるのは難しい」と聞いたことがある。そうだとすれば、とうてい私の手に負える花ではない。
 それはそれとして、胡蝶蘭を目前にして頬張る寿司のなんとおいしかったことだろう。私にとってそれは至福の時間であり、もっとも贅沢なひとときだった。
 店を出て、夜の伏見通りをバス停に向かって歩を進めながら思った。本当に人生はいいときが少ない。いろいろ人間関係に悩んだり、病院関係にお世話になったり。直近のことでいえばパソコンの不具合に見舞われたり、と次から次へと頭の痛いことがやってくる。それでも、こうして生きていられるのは、胡蝶蘭を目前にして寿司を頬張る、至福のいっときがやってくるからに相違ない。胡蝶蘭に感謝である。
            (2016年3月28日)
イメージ 1


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1223

Trending Articles