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Channel: 古代史の道
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不易流行

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 前にも記したが、私は英会話クラブの例会後、必ずといっていいほど立ち寄る寿司店がある。名古屋では老舗の東寿司(あずまずし)本店である。そこに大きな額が架かっていて「不易流行」という4文字が墨書されている。これまで、何の注意も払わず、漫然と目を注いできた。いわゆる「四字熟語」の一つなんだろうなと思っただけだった。
 ところが、何の脈絡もなく、ふっと気になった。「不易」と「流行」は正反対の意の筈だが、それを並べて何か意味があるのだろうか。疑問を抱いた私は一日置いて「四字熟語辞典」(大修館)を引いてみた。驚いたことに不易流行を説いたのは俳聖松尾芭蕉だという。芭蕉は「俳諧は永遠に変わらないものと時に応じて変化するものとの両面に立脚しており、風雅の誠を求めて変化し続けていくことこそが俳諧の不変の価値を実現する」と説いた。これは文章の現代性から見て芭蕉その人の言葉ではないだろうが、「四字熟語辞典」にはこう出ている。
 私は不易流行はてっきり中国の成句から取ってきた熟語だと思い込んでいた。なので、このことを知り、わが不明に恥じ入った。が、不易流行はたんに俳諧の世界にとどまらない真実を含んでいる。とどまってしまったら死後の世界と選ぶところがない。さりとて流行を追ってばかりいたら没個性となる。没個性では芸術を進化させられない。否芸術ばかりでなく、科学その他万般に及ぶ真理に相違ない。俳諧の世界を説きながら万般に及ぶ普遍性を持っている。どっしりした不変の大木に伸びる枝の数々。そのまた先の梢の先に咲く花々、どこが途切れても梅や桜は花を付けることは出来ない。うーむ。 不易流行、なんという奥深い言葉なんだろう。
    何気なく見過ごしてきた四字熟語架けたる人の心ばえを知る
 ふっと疑問に思って調べてよかった。
            (2016年5月16日)
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