Quantcast
Channel: 古代史の道
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1223

松葉菊

$
0
0
日々つれづれ-11トップへ
 中山道(なかせんどう)69次の61番目の宿に醒井宿(さめがいしゅく)というのがある。滋賀県米原市にある。江戸時代の宿場町の風情を色濃く伝える。わたしはそこに二度足を運んだことがある。
 そこの路傍にかなり大きな松葉菊の群れが咲き誇っていた。花の葉が松葉に似ているところから命名されたのではないかと思う。
 さて、このたび私は小牧第一病院に所用があって訪れたのだが、その前の路傍にやはりかなり大きな松葉菊の群れが咲き誇っていた。それを見かけて私は咄嗟に醒井宿のことを思い出した。清流が流れ、古い郵便局があり、かっての旅籠とおぼしき跡が残っていた。が、それは単に風景であって、一番の思い出は二人で出かけ、帰路、お店で鯛焼きを頬ばったことである。その相手とはしばらく逢ってないが、いまごろ元気でいるだろうか、と思いを馳せた。お互いにまだそれなりに若く、思い出すと、胸がきゅんとなる。
    松葉菊醒井の宿を歩みたり
    あのころは二度とはこない松葉菊
 人生は残酷である。どんな場面も一瞬にして思い出に変わり、気が付けば、もう10年も20年も昔のことになっている。そして、その思い出はあくまで思い出であって、二度と蘇ることはない。
 私は、小牧第一病院の前に咲く松葉菊を眺めながら、とどまることを知らない歳月がうらめしかった。
    目の前に松葉菊あり戻らない歳月うらみ遠くを見やる
 私は、悔しいけれど、老いの身を感じ、うるうるとなった。いわば自らに認めたくないけれど、感傷的にならざるを得なかった。
          (2015年7月5日)
イメージ 1


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1223

Trending Articles