日々つれづれ-10トップへ
私はここ数十年独身生活を続けている。毎日の生活なので、特別の意識も感情も催さずに日々を送っている。あらためて「寂しいでしょう」とか「不便でしょう」と問われると返答に窮する。「寂しくない」とか「不便でない」と言えば嘘になる。さりとて、特別の意識も感情も催さずに生きているので、具体的には返答のしようがない。5人に1人は生涯独身のまま終わるという現代、年を重ねても独身のままという状況は少しも珍しくない。
珍しくないどころか、未婚のままの人々が多くて人口減少の一因として問題視されるほど普通のことになっている。
ところが、私自身をも含めた60代、70代の世代の人には独身というのは特別視される傾向にある。「独身?」、「そう」、「頑張ってるね」、くらいの軽いノリで交わされる会話なら気が楽だが、老人世代の人はやや哀れみを帯びたまなざしで当方を見つめ、「大変だよね。そうそう本当に不便だろうね」などと言われると、返答のしようがなく困惑してしまうのである。数日前、英会話クラブで親しくしていただいているある年長者にこう話しかけられた。
「小耳に挟んだんだけど、ひとり暮らしだそうだね」
「ええ」と答えると、その年長者は半ばうれしそうに半ば哀れむように言った。
「食事はどうしてるの。洗濯は自分でしてるの」
余計なことでしょ、とも言えず、さりとて何ともこたえようがなく、わが生涯においてこれほど困った質問を受けたことがない私。困惑し、同時にほとほとまいってしまったのである。そんな所に優越感らしきものを覚えるなんて、正直、いささかお寒い気分になってしまったことを告白せざるを得ない。人は誰しも年を取り、死別等でいつかは一人暮らしを迎えよう。さあ、元気で頑張ろう。
(2014年10月15日)
私はここ数十年独身生活を続けている。毎日の生活なので、特別の意識も感情も催さずに日々を送っている。あらためて「寂しいでしょう」とか「不便でしょう」と問われると返答に窮する。「寂しくない」とか「不便でない」と言えば嘘になる。さりとて、特別の意識も感情も催さずに生きているので、具体的には返答のしようがない。5人に1人は生涯独身のまま終わるという現代、年を重ねても独身のままという状況は少しも珍しくない。
珍しくないどころか、未婚のままの人々が多くて人口減少の一因として問題視されるほど普通のことになっている。
ところが、私自身をも含めた60代、70代の世代の人には独身というのは特別視される傾向にある。「独身?」、「そう」、「頑張ってるね」、くらいの軽いノリで交わされる会話なら気が楽だが、老人世代の人はやや哀れみを帯びたまなざしで当方を見つめ、「大変だよね。そうそう本当に不便だろうね」などと言われると、返答のしようがなく困惑してしまうのである。数日前、英会話クラブで親しくしていただいているある年長者にこう話しかけられた。
「小耳に挟んだんだけど、ひとり暮らしだそうだね」
「ええ」と答えると、その年長者は半ばうれしそうに半ば哀れむように言った。
「食事はどうしてるの。洗濯は自分でしてるの」
余計なことでしょ、とも言えず、さりとて何ともこたえようがなく、わが生涯においてこれほど困った質問を受けたことがない私。困惑し、同時にほとほとまいってしまったのである。そんな所に優越感らしきものを覚えるなんて、正直、いささかお寒い気分になってしまったことを告白せざるを得ない。人は誰しも年を取り、死別等でいつかは一人暮らしを迎えよう。さあ、元気で頑張ろう。
(2014年10月15日)
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