不思議な事

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　先日の英会話例会で、横綱日馬富士（３３）の暴行問題が話題になった。４，５人のグループに別れてのＤｉｓｃｕｓｓｉｏｎだが、私のグループでは「不思議な事件」ということになった。私自身の受け取り方も加味して簡単に要約すると、こうである。
　大方承知のように、日馬富士の暴行を受けたのは幕内力士の貴の岩。モンゴル会の酒席で暴行を受けた。この事件はマスコミこぞって大々的に取り上げ、真相のわからぬまま日馬富士が追求され、１１月２９日引退会見を行うに至った。その後も連日入れ替わり、立ち替わり、大々的に報じられ続けている。
　不思議というのは、肝心の当事者の一方（貴の岩）のコメントや様子が一切分からないまま推移していることだ。そもそもは先輩が後輩に子供を叱りつけるように、いわゆるかわいがりという奴で、傷を負わなければ事件にも何にもならないケースだという人もいた。つまり、スポーツ界ではさほど珍しいことではないというのである。
　当事者同士は握手を交わしたという報道も流れた。そういう、ある意味では内輪の説教と言えるような事柄だった。ところが、燎原の火が拡大するように、連日連夜、マスコミが報道し、まるで、相撲界全体の大事件のようになっている。肝心の当事者の話が伝えられないままなので、それが明らかになってから報道しても遅くないケースに見える。
　私のような凡百の一相撲フアンの目から見ると、大騒ぎし過ぎ。連日連夜、立ち替わり入れ替わり、親方だの元力士だの評論家だの、少しでも相撲界に関係した人を探し出してはマイクを差し出す。肝心かなめの当事者そっちのけにしたままの大騒ぎ。他に大事件だの政治経済の話題だのはないのだろうか。こうした馬鹿騒ぎめいたことで、今年は暮れていくのか、と思うとやりきれない。日本は平和と言えば平和だが、どこか虚しいような気持になる。不思議な不思議な事件である。
　　　　　　　　　　　　　（２０１７年１２月１５日）