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作句の醍醐味

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 すでにアップしたように、3ヶ月余の長期入院中に、名古屋第一赤十字(中村日赤)とあま市民病院に入院中、32句を数える俳句を作句し、書庫の「俳句、歌号ゲーム」中にまとめて発表させていただいた。
 その中で、次のような一句がある。
  17 雪冠むるああ霊峰や伊吹山 ((桐山芳夫)
 伊吹山というのは古代史をかじったことのある人なら知らない人のいないほど高名な、ヤマトタケルノミコトにゆかりのある山である。古代伝説上の英雄。『日本書紀』で日本武尊と表記されるほどの英雄中の英雄。伊吹山自体は標高1400mほどしかない山。
 作句した時の初案は「雪冠むるヤマトタケルの伊吹山」、あるいは「白銀に輝くあれぞ伊吹山」等々だった。
 実は病室から出られる機会がなかなかなく、リハビリ担当の人の連行で車椅子で外出の機会があった。その日は絶好の好天気。せがんで伊吹山の見えるところまで行ってもらった。その時の伊吹山は鮮烈。
 だが、先述したように初案はいくつも句が浮かんだが、心にピンとこない。「ヤマトタケルの伊吹山」ではまともすぎてしっくりしない。「ああでもない、こうでもない」と、たった一句作るのに、三日間もかかったのである。
 三日目の夜、不意に第二句が浮かんだ。「ああ霊峰や」である。「これだ」。私は胸のつかえが降りたようにすっきりした。
  17 雪冠むるああ霊峰や伊吹山 ((桐山芳夫)
 作句は、すぐに成案が浮かぶ時もあるが、本句のように、何日も成案を得ない時もある。簡単に見えて苦労するのが俳句。そこが醍醐味。
           (2019年3月3日)
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