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Channel: 古代史の道
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令和へ

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 明日から令和元年の開始である。私が生まれたのは、昭和。平成を終え、令和に入ると三代目を生きることになる。
 中村草田男は昭和6年に降る雪を眺めながら、次のような一句を紡ぎ出した。
       降る雪や明治は遠くなりにけり   中村草田男
 私は20代の頃この一句に出合って衝撃を受けた。「明治は遠くなった」という感慨に実感がこもっていた。だが、明治の次の大正時代は15年しかなく、昭和6年では明治は20年ほどしか経っていない。現在だと平成10年頃の感慨ということになる。ですから、昭和でも遙か遠く遠い時代になる。
 ところで、新元号「令和」が発表されたとき、一部で「令は命令の令だから違和感を覚える」という向きがあった。私は「令和」は万葉集に起因していると知って大歓迎だった。なので、違和感を覚えた人が不思議だった。
 「えっ」と驚く人がいるかと思うが、実は万葉集のどこを探しても「令和」は出てこない。「万葉集に起因するという説明は誤りなの?」ということになる。
 が、そうではない。「令和」の出所は815番歌の序文なのである。関係部分だけの原文を掲げると「于時初春令月氣淑風和」である。時は「天平二年(730年)正月十三日」のこと。初春令月とある。命令の令とはとんでもない。「初春の素晴らしい時期」ということである。「空気は澄み風はやわらかにそよぐ佳き日」というのが原文の趣旨。
 つまり「令月」は「素晴らしい時期」という意味であり、「氣淑風和」の「空気は澄み風はやわらかにそよぐ」という「和」と合わせて「令和」なのである。
 平成が令和に変わろうとするこの時期を捉えて、改めて、「令和」が「素晴らしく穏やかな」という意味に起因していることを記しておきたい。
           (2019年4月30日)
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