Quantcast
Channel: 古代史の道
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1223

世間は狭い

$
0
0
日々つれづれ-11トップへ
 「世間は狭い」とはよく耳にする言葉である。主として、思わぬ所で思わぬ人と出会うことをいう。英会話クラブのメンバー、通院している医院の医師や看護士、スーパーの店員等々、日常の活動範囲の人々には時として思わぬ場所で出会うことがある。床屋や地下鉄で偶然に隣合わせになること等である。が、むろん、こうしたケース自体、滅多に経験することではないが・・・。
 昨夕のことである。相棒と二人で、近在の手打ちそば屋さんに出かけたのだが、そこで思いも及ばない人に出くわした。なんと中学時代の同窓生N,O君に出くわしたのだ。まだ、童顔の残る中学生だったのだから、それから半世紀以上経ち、お互いに変わり果てた高齢者になっている現在、相互に誰のことか分かるはずもない全くの他人である。なぜ、そうと分かったかというに、2年前に同窓会が企画され、その場で顔を合わせていたからである。
 彼は私たちより先に入っていて、少し離れた席にいてそばをすすっていた。彼の背中を見る形で席についていた私は、それがN,O君とはつゆほども思わなかった。ところが、食べ終わってこちらを向いた彼は私の真ん前まで歩いてきて声をかけた。「私が誰だか分かりますか?」。とたんに私の記憶は二年前の同窓会に舞い戻り、彼を認識した。二こと三みこと会話を交わした彼はていねいに一例して「じゃあ」のひとことを残して立ち去っていった。
 あまりのことに、私は呆然と立ち尽くすような心理状態に陥った。「世間は狭い」。小説の世界ではたびたび出くわしている疑似経験なのだが、それが現実の世界に起きるとは!。彼が立ち去って数分後、やや落ち着きを取り戻した私に襲ってきたのは、別れ際になぜ「元気でね」と言えなかったのか、という後悔の念だった。
            (2015年2月11日)
イメージ 1


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1223

Trending Articles