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ひな祭りとは

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 本日は三月の節句ひなまつりの日である。昨年のこの時期に私は一文を弄し、「女の子の健やかな成長を願っての行事なのだろうから、むくつけき男の身に加え、高齢に達している私には縁遠い行事である。」と記している。が、その私にも忘れがたい思い出が一つ加わった。昨年、岐阜県恵那市の岩村城下町を訪れた際、ひな人形の陳列を目の当たりにしたからである。
 同城下町は奥深い山村でありながら(というより「だからこそ」というべきか)、江戸時代の風情さながら、明るくはなやかなひな飾りを行っている。ひな飾りは過ぎ去った遠い遠い時代に私を呼び戻し、私に忘れがたい思い出を刻むことになった。庶民はみな貧乏で普段は質素につつましやかに暮らしていた。それだけにひな祭りのような日は特別の日となり、結構人々は幸せではなかったろうか、と思うようになった。「古き良き時代」といえばそれまでだが、車社会やIT社会の進展で手中にした便益向上の一方、人と人とがつながっていたムラ社会にあった人情は失われ、ギクシャクしだしたことは否めないだろう。こうした変化に憤慨を覚え、声高に批判したところで事態が変わるわけではない。が、これだけは言える。個々の人生は一瞬一瞬であり、同時にすべて思い出に変化していく。その思い出が人と人との交流ではなく、ツウィッターだのLINEだのといったSNS、ないしはスマホだのゲームだのといったものの連続で占められるとしたら、私などはぞっとしない。各家庭にひな祭りだの端午の節句だのがあって、人々が素朴に交流し、子供の成長を願いながら暮らす生活。そうした一連のことどもを思い起こさせてくれるもの。それがひな祭りの本当の意味なのではなかろうか。
   いまの世も光を放つひな祭りムラびとたちの横顔照らす
   人はみな人の輪求め生きているスマホばかりじゃ寂しからずや
            (2015年3月3日)
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