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神がかり

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 一ヶ月ほど前、私は中学校時代の同窓生と50年ぶり余にばったり出くわした。奇遇も奇遇。その2週間後またも出くわし、狐に鼻をつままれた思いに捉えられた。さらに、後日、二人の母校菊井中学校の名が名古屋市長の随筆に登場するというおまけまでついた。
 昨夜のことだ。深夜に近い午後十一時頃、車のヘッドライトの不具合に見舞われ、あわをくった。左灯が消えたままになり、片目走行を強いられた。そのまま相棒を送り届けたのだが、もし右灯も消えることになれば走行不可となりかねないところだった。
 帰途、家の近くまで走行してきたとき、近くのガソリンスタンドに立ち寄ってみた。ランプ交換くらいなら、ひょっとしてなんとかなるのではないかと思ったのだ。深夜番とおぼしき店員がいて話を聞いてくれたが、案の定、翌朝になってからと言われた。
 もう帰ったも同然だからと無駄を承知でいつも給油しているスタンドにも立ち寄ってみた。スタンドの横に一台の見知らぬ車が駐っていて、二人が立ち話をしていた。事務所に寄ってみたが人影は見あたらなかった。気持がふっきれた私は「明日、明日」とつぶやいて出てきたらまだ先刻の二人がいた。「もうスタンドは閉まってるみたいですね」と声をかけると、「どうしたんですか」と返事が返ってきた。手短に事情を話すと、「ちょっと見てあげましょうか」と言う。驚いた私は「スタンドの方なんですか」。彼は大きく手を振り「ぜんぜん」と言いながら近づいてきてボンネットを開け、手を突っ込んで指先を動かした。とたんに消えた左灯が点灯した。私はあっけにとられた。丁重に謝意を述べ、別れたのだが、同窓生に出会ったときと同様狐に鼻をつままれた思いに捉えられた。
 偶然に車が駐まっていた。二人はたまたま立ち話をしていた。偶然に出くわした人が親切で、かつ、車にも詳しかった。そして、左灯はあっという間に点灯した。相棒に話したら「同窓生の件といい、今回の件といい、まるで神がかりね」と言われた。
            (2015年3月12日)
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