金輪際バッテン

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　一週間ほど前、歯痛に苛まれ、ほとほと手を焼いている旨を記したばかりだが、一昨日、歯科医院から開放されることになった。当面完治ということで、終了というお墨付きをいただいたからである。まだまだ長引きそうだと覚悟していただけにあっけに取られた。
　半年ほど前から断続的に苛まれてきただけに、あっけに取られながらもじわーっとした喜びが湧き上がってきた。たかが歯痛、されど歯痛なのである。
　　　　医院出て見慣れた茶舗を過ぎし時黄色いビオラやけに目にしむ
　　　　情けなや歯痛ごときと思いつつ解かれてみればああパラダイス
　　　　何よりも歯痛ほど悪しきものはなし治癒後にさらに怖さ増すなり
　「もう金輪際、歯科のお世話にはなるまい」と決意して帰宅したのだが、果たしてどうか。治癒後間もない今から、こんな疑念にとらわれるとは困ったもんだが、正直完璧な自信が持てないのである。その背景には、長く長く続けてきた食習慣（一例、甘い物好き）に加えて歯磨きは一日一回きりという生活習慣がある。「もう金輪際、歯科のお世話にはなるまい」と決意することなら誰にも出来る。問題は本当に悪習慣から抜け出せるか否かである。習慣が簡単に変えられるようなら、私の精神力も捨てたものではない。ここしばらくは、一ヶ月かかるか、三ヶ月かかるか、あるいは一年経っても抜け出せないのか、悪習慣と精神力との壮絶にして長い長い闘争が繰り広げられそうである。考えるだけでもうんざりする。が、この闘いには手を抜くわけにいかない。手をぬけばたちまちにして、元の木阿弥になりかねない。まさにこれは私の精神力が試されることなのだ。このことは喫煙習慣から抜け出すのがいかに困難を極めるかお分かりの方なら身に染みてご理解いただけよう。そもそも、悪習慣なんてものに染まらないでおけば、こんなことにならないで済む。皆様方もこころして下さいよ。
　　　　　　　　　　　　（２０１５年３月１５日）