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前々月(2月)、近在の手打ちそば屋さんで中学時代の同級生N・O君に半世紀ぶりに出くわして驚いたことを記した。一昨日、そのそば屋さんに久しぶりに立ち寄ったところ、その駐車場にモコモコとした感じの花が咲いていた。気になって勘定を済ます際店の人に尋ねてみたらモモということだった。
桃の花と言えば、梅や桜と並んで春を彩る代表的な風物詩の筈である。少なくとも果物としての桃はサクランボなどに負けないほど馴染みのある存在である。しかしながら、花となるとあまり見かけた記憶がない。路傍で出会った記憶がないのだ。これは桃が中国原産でわが国にあまり馴染みがないせいではなかろう。桃の花は我が国に古くから根付いていて、万葉集に「春の園紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ娘子」(4139番歌)と詠われているほどである。ただ、不思議なことに短歌はこの一例しかなく、長歌の「桃の花紅色ににほひたる~」(4192番歌)を含めてもたった2例しかない。梅や桜がおびただしく詠まれているのと比べるとあまりに対照的である。
では、桃の花が地味で貧弱かといえば、いえいえ、折り重なるように咲く姿はとても美しく温かい風情があるのである。今回、初めて桃の花を前にして、なんだか貴重な宝物を得た思いに駆られたのである。
せっかく出会った貴重な桃の花、昨夕、今度はカメラを持参して、桃の花を撮るためだけにそば屋さんの駐車場に出向いた。すると、私と同じように出向いてきていた人がいて、やはりカメラを構えていた。
桃の花をあまり見かけないのはそれなりの理由があるのだろうが、私にはその理由などどうでもよい。桃の花、それは、まちがいなく梅や桜と並んで春を彩る代表的な花だと確信させられた、そのことこそ大切な要点なのである。
(2015年4月2日)
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前々月(2月)、近在の手打ちそば屋さんで中学時代の同級生N・O君に半世紀ぶりに出くわして驚いたことを記した。一昨日、そのそば屋さんに久しぶりに立ち寄ったところ、その駐車場にモコモコとした感じの花が咲いていた。気になって勘定を済ます際店の人に尋ねてみたらモモということだった。
桃の花と言えば、梅や桜と並んで春を彩る代表的な風物詩の筈である。少なくとも果物としての桃はサクランボなどに負けないほど馴染みのある存在である。しかしながら、花となるとあまり見かけた記憶がない。路傍で出会った記憶がないのだ。これは桃が中国原産でわが国にあまり馴染みがないせいではなかろう。桃の花は我が国に古くから根付いていて、万葉集に「春の園紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ娘子」(4139番歌)と詠われているほどである。ただ、不思議なことに短歌はこの一例しかなく、長歌の「桃の花紅色ににほひたる~」(4192番歌)を含めてもたった2例しかない。梅や桜がおびただしく詠まれているのと比べるとあまりに対照的である。
では、桃の花が地味で貧弱かといえば、いえいえ、折り重なるように咲く姿はとても美しく温かい風情があるのである。今回、初めて桃の花を前にして、なんだか貴重な宝物を得た思いに駆られたのである。
せっかく出会った貴重な桃の花、昨夕、今度はカメラを持参して、桃の花を撮るためだけにそば屋さんの駐車場に出向いた。すると、私と同じように出向いてきていた人がいて、やはりカメラを構えていた。
桃の花をあまり見かけないのはそれなりの理由があるのだろうが、私にはその理由などどうでもよい。桃の花、それは、まちがいなく梅や桜と並んで春を彩る代表的な花だと確信させられた、そのことこそ大切な要点なのである。
(2015年4月2日)