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Channel: 古代史の道
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チューリップ

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 本来、百花繚乱は野山や庭園等で種々の花々が咲き乱れる様をいい、春まっ盛りを表現している。が、ビルや商店で埋め尽くされた都心部にも春はやってくる。さすがに、百花繚乱とまではいえないにしても、春はまんべんなくやってくる。
 実際、昨夕、英会話クラブの例会に出席すべくバスに乗り込んで移りゆく車外の光景に
目をやると、都心部でも満開のソメイヨシノがわが世の春を謳歌していた。が、春を謳歌していたのはソメイヨシノばかりではない。伏見で降りて、商店街や裏通りを歩いていくと、あちこちの道路脇や店先に種々の花々が春を満喫していた。ユキヤナギ、椿、マーガレット、ビオラ、パンジー等々。個々には鉢やプランタンに植えられた小規模なものだ。それでも、全体として見れば、百花繚乱と表現して差し支えないほどだった。
 会場の愛知県青少年会館に到着すると、その玄関先に見事なチューリップが列をなして咲き誇っていた。春はちゃんと都心部の一角にもやってきていて花開いていたのである。
   ほのぼのと会館に咲くチューリップ海外びとの話聞き入り
   のめりこみスマホに見入る高齢者背(せな)に居並び咲くチューリップ
 チューリップを背後にして玄関に足を踏み入れたとき、何の脈絡もなく、不意に、テロリスト集団の相次ぐ蛮行が頭をよぎった。何の罪も敵対心もない無辜の人々まで巻き込む行為は常軌を逸している。彼らは明るく温かい大柄なチューリップの花々に接したことはないのだろうか。人はみな母の胎内から生まれてくる。いいかげんにいさかいをやめることはできないのだろうか。温かい色彩に包まれて咲くチューリップに免じて互いに穏やかに、各々の命をまっとうすることはできないのだろうか。何の脈絡もなくよぎった惨事だが、どこかチューリップが健気な存在に思われ、人々の気持ちをやわらげてくれるように思われてならなかった。
            (2015年4月5日)
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