口内炎完治

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　口内炎が完治した。舌が痛くなったのが６月１５日頃だからきょうで一ヶ月になる。これまでの経験だと一週間以内には自然治癒してきたので、異常な長さである。長いだけではない。ものが痛さで食べられなく、さんざん苦労した。実際には一週間くらい前にはほぼ治癒していたから、正確には３週間余だったことになる。
　ドクターに「きれいに治っていますね。今日で完治としましょう」と太鼓判を押され、ほっとした。中村日赤から出てくるとき、長かっただけに、ひとりでに笑みがこぼれ出た。たかが口内炎、されど口内炎。口内炎がこんなに痛くこんなに長く苦しめられるとは思ってもみなかった。
　　　口内炎人には知れぬ苦しみにおの子たる矜持捨てたることも
　　　思い出すさえ痛々し口内炎完治と聞きて笑みこぼれ出す
　過ぎてみれば何でもないような炎症だったわけだが、ものが食べられなかったときは本当に辛く、五体満足な我が身だけに、口惜しくて口惜しくてたまらなかった。その情けなさは尋常ではなかった。今のこの瞬間、健康に満ちあふれていても、次の瞬間は何に襲われるか分からない、そのことをつくづく痛感させられた、今回の口内炎だった。
　中村日赤を出て、そういえば今は百日紅の季節だよなという思いが頭をよぎり、中村公園の前の道を通って帰宅することにした。
　言わずと知れた、そこに立ち並ぶ、紅と白の百日紅並木を見て帰るつもりだった。果たして通りには期待通り、百日紅が真っ盛り。
　　　口内炎完治の我が目に痛く咲く百日紅のあまりにあざやか
　本当にあざやかな紅と白の花。我が目にはまぶしかった。それを眺めていたらつくづくと健康体であることがありがたかった。
　　　　　　　　　　　（２０１５年７月１５日）