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慈眼寺へ

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 昨日、すばらしいことがあった。天白区(名古屋市)の名刹慈眼寺(じげんじ)を探し求めに出かけた。平針に入ってから同寺の所在地(天白区大根ケ越)を頼りにナビゲーターで検索した。が、大根ケ越が出てこない。慈眼寺という寺名で検索してみても天白区内、否名古屋市内全域にも見あたらない。あわてた私は天白区内に大根町があったので、とりあえずそこに向かって車を走らせた。ところが、そこで訊いても「そんな寺はない」という。私は目前に目に付いた雑貨屋風の店に入っていって訊いてみた。
 素晴らしいのはここからである。奥さんに尋ねたら熱心に調べ始めた。五、六分すると配達先から戻ってきたとおぼしき主人も探し出した。天白区の地図だの住宅地図だのを持ち出してきて夫婦二人がかりで念入りに探してくれた。その間、ゆうに30分を越えた。天白区といっても広い。寺を知らなければ見当もつかない。私は幾度も「手間をかけるのでもう結構です」と言ったのだが、「もうちょっとお待ち下さい」と引き留められた。
 さらに10分後、店先に住宅地図を持ってきて、慈眼寺の掲載されているペーシを開いてくれた。私は目印となる施設等を目で追い、農業センターを見つけ、「そこに行って訊けば分かるでしょう」と丁重に礼を言い、店を辞した。私は車に乗り込み、ナビゲーターで農業センターの位置を探っていたら、奥さんが店から出てきてやってきた。手に何か紙切れをもって・・・。扉を開けると渡してくれたのはパソコンで打ち出した慈眼寺の記事だった。「そこまでやるか」というのが私の驚きだった。「慈眼寺を知りませんか」と訊いただけの私。「知りません」のひとことで済むのを「そこまで」である。
 このせちがらい世にこんな人がいるとは、私のいうすばらしいことというのは、この小さくて、とてつもなく大きな親切心だった。車を駆って難なく慈眼寺に到着するとその前の畑に鮮やかな柿の木が実っていた。
           (2015年10月3日)
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