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デコポン

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 車で近在を走らせていたら、見慣れない柑橘類に出会った。思わず車をとめ、カメラ片手に車から飛び出した。柑橘類を始め、桃にしろ、リンゴにしろ、ともかく果樹の大好き人間である私。味のことは分からぬが、果物がなっている姿が美しい。
 さて、年が押し詰まってから実をつけるとは珍しいと思って近づいていったらデコボンだった。むろん、私は見たことがなく、デコボンかどうかははっきりしない。が、デコボンに相違ないと思って一文を綴る気になった。
 昔友達から聞いた記憶によると、デコボンは熊本県が原産で、たしか不知火と書くらしい。今頃実をつけ始めるのだから、珍しく、きっと貴重な果物なのだろう。一本だけなので試験的に植えられたものだろうか。こんな所でこんな時期に。私は驚き、しばし見とれた。
   デコポンを見つけてうれしいち早く春をみつけし心地になれり
   冬将軍来たらんとするに雄々しくもデコポンその実付け初めてをり
 私が果樹が大好きなのは、その枝という枝に、ずっしりと実をつける充実感である。その実にはまがいものはひとつとてなく、正真正銘の果樹ばかりなのだ。そのはちきれんばかりの果実は人生の到達点を象徴している。桜の花は美しさにおいて絶頂期を形成しているが、サクランボこそ実質の充実感を体現している。
 眼病を始めとして、様々な病に苦しめられた一年だったが、来たる新しき年こそ、デコポンのように、少しでもましな実をつけられたらと願っている。どの人にとってもそういう充実した一年になってほしいと願いつつ稿を閉じたい。
   新年を迎えんとして身震いす
           (2015年12月29日)
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