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Channel: 古代史の道
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新学問のすすめ

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 大方ご承知のように、私は現在万葉集の読解を進めている。岩波書店の「万葉集」(日本古典文学大系)(「岩波大系本」)を中核として4書の業績に依拠しながら進めている。その目的は万葉集の読者を十倍以上に拡大せんがためである。ご承知のように、万葉集は奈良時代末期(1200年余も前)に成立した最古の歌集で、数多くの人々の歌が登載されている。1200年余も前の時代の人々の心情がうかがわれるのは稀有な事であり、世界的に見ても稀有なことに相違ない。いわば日本文化の原点である。その原点を一人でも多くの方に接していただきたいと思って読解に励んでいる次第である。その読解も3300番歌に達しようとしており、一度くらいはその作業事情を一文に収めても許されるかなと思って筆をとった。
 万葉集の愛読者が一向に拡大する気配が見えない理由、それは意外にも「岩波大系本」を始めとする専門家に起因しているようなのである。ある歌を開くと、接頭語だの「~の未然形」だの「~の語幹」だのといった注釈が多く、かつ、「~頁参照」だの「~番歌参照」なる指示が多い。これでは歌の鑑賞どころではない。私は嫌気がさして本を閉じてしまったのは一度や二度ではない。
 そこで読解を始めた次第だが、私自身がすべての注釈に振り回さざるを得なくなり、ある時は注釈の意味を理解するのに、何日も要した。そこで私の読解も滞り、作業が難渋することになった。後輩にはこんな思いはさせたくないと思い、原則としてある歌はそれ独立として読めるように煩雑ではあるが努めてきた。一例だけあげると「ぬばたまの」は枕詞だが、何回でてきても、そのたびに「おなじみの枕詞」と記した。可能な限り「~を参照」を避けるようにした。愛好者の拡大もさることながら、学問は後続の人々に負担を強いることがないようにしなければならない、と思っている。
            (2016年2月14日)
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