政治経済等時事問題おしゃべり
近年、何が驚いたかといってこんな驚いたことはない。6月23日に行われたイギリスの国民投票の結果である。大方ご承知のように英国がEUを離脱するか残留するかを決める国民投票である。結果は得票率51.9%対48.1%の僅差で離脱派が勝利した。戦前から僅差が予想されていたが、最終的には残留派が勝利すると私自身は思っていたので、結果が離脱派勝利と出て、「えっ!」と絶句した。ラジオニュースを聞いてにわかに信じられず、帰宅してテレビやインターネットで確認した。
EUはEuropean Unionの頭文字を取ったもので、欧州連合のことである。経済統合が話題になりやすいが、外交、安全保障、司法などの統合をめざす、いわば欧州はひとつという考え方に立っている。イギリスはドイツやフランスなどと共に指導的役割を担ってきた国で、創設時から加盟している12か国のひとつである。基本的にEU内は関税がかからず自由に貿易ができる。EUの説明はこれくらいでいいだろう。
私が驚いたのは、ヨーロッパはもとより世界的に見ても指導的地位にある英国、その英国がEU離脱の道を選んだ点にある。欧州を一つにまとめようと、引っ張ってきたその主要国が離脱する衝撃である。完全に時代の大きな歯車を逆回転する道を選んだのである。これが驚きでなくてなんだろう。
昨日、英会話クラブの例会に出たが、お目当てはH氏であった。H氏は実に英会話が堪能な方である。それもその筈、彼の娘さんが英国人と結婚し、英国で暮らしている。その関係で英国にたびたび足を運んでいる。その関係でH氏が今回の結果をどう受け止めておられるか多少なりとも聞いてみたかった。彼は言った。
「移民問題が大きいですね。確かに職を奪われている面があります。それと、かっては大英帝国だった国ですから、老人なんかにはよき時代を引きずっている人がいます。24歳以下の若者は離脱派はわずか36%ですから」
つまり、今回の時代逆行劇は老人層のナショナリズムに一因があるというわけだ。
ナショナリズムは本当にやっかいで恐ろしい。わが国に引きつけて考えてみると、私は日本の古来からの伝統的短詩系文学や、風景、祭り、行事、和食等々の日本らしさが好きである。こよなく愛してやまないといってよい。が、そのこととナショナリズムは似て非なるものである。いわば私の好きなのは日本の伝統的文化であって、自国さえよければよいという偏狭なナショナリズムなんかではない。
こういう点でイギリスの若者の多くがEU残留を望んだという点に英国の未来に「希望」を託したい。
(2016年7月3日)
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近年、何が驚いたかといってこんな驚いたことはない。6月23日に行われたイギリスの国民投票の結果である。大方ご承知のように英国がEUを離脱するか残留するかを決める国民投票である。結果は得票率51.9%対48.1%の僅差で離脱派が勝利した。戦前から僅差が予想されていたが、最終的には残留派が勝利すると私自身は思っていたので、結果が離脱派勝利と出て、「えっ!」と絶句した。ラジオニュースを聞いてにわかに信じられず、帰宅してテレビやインターネットで確認した。
EUはEuropean Unionの頭文字を取ったもので、欧州連合のことである。経済統合が話題になりやすいが、外交、安全保障、司法などの統合をめざす、いわば欧州はひとつという考え方に立っている。イギリスはドイツやフランスなどと共に指導的役割を担ってきた国で、創設時から加盟している12か国のひとつである。基本的にEU内は関税がかからず自由に貿易ができる。EUの説明はこれくらいでいいだろう。
私が驚いたのは、ヨーロッパはもとより世界的に見ても指導的地位にある英国、その英国がEU離脱の道を選んだ点にある。欧州を一つにまとめようと、引っ張ってきたその主要国が離脱する衝撃である。完全に時代の大きな歯車を逆回転する道を選んだのである。これが驚きでなくてなんだろう。
昨日、英会話クラブの例会に出たが、お目当てはH氏であった。H氏は実に英会話が堪能な方である。それもその筈、彼の娘さんが英国人と結婚し、英国で暮らしている。その関係で英国にたびたび足を運んでいる。その関係でH氏が今回の結果をどう受け止めておられるか多少なりとも聞いてみたかった。彼は言った。
「移民問題が大きいですね。確かに職を奪われている面があります。それと、かっては大英帝国だった国ですから、老人なんかにはよき時代を引きずっている人がいます。24歳以下の若者は離脱派はわずか36%ですから」
つまり、今回の時代逆行劇は老人層のナショナリズムに一因があるというわけだ。
ナショナリズムは本当にやっかいで恐ろしい。わが国に引きつけて考えてみると、私は日本の古来からの伝統的短詩系文学や、風景、祭り、行事、和食等々の日本らしさが好きである。こよなく愛してやまないといってよい。が、そのこととナショナリズムは似て非なるものである。いわば私の好きなのは日本の伝統的文化であって、自国さえよければよいという偏狭なナショナリズムなんかではない。
こういう点でイギリスの若者の多くがEU残留を望んだという点に英国の未来に「希望」を託したい。
(2016年7月3日)