Quantcast
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1223

秋来たる

日々つれづれ-13トップへ
 しとしとと雨が降っている。一昨日の彼岸は激しい雨に見舞われたが、きょうはひんやりとして、残暑もどこかへ吹っ飛んでしまったようだ。秋の到来を告げる雨だ。いつも足を運んでいる英会話クラブには気分的に出かける気になれず、家居を決め込んだ。終日家にこもったままというのは私にしては珍しい。じっくりと文章を書いたり、詩歌に専念できるチャンスなのだろう。
     秋雨が降り英話会休みけり
     彼岸花咲く荒子園にも行かず
     窓の外いちめん冷雨秋来たる
   しとしとと降る秋雨にふと浮かぶ法隆寺なるあの瓦屋根
   万葉の人もこの我もひさかたの空ゆ降り来る冷雨仰げり
 拙い詩歌でもこうして作品にしてみると不思議にじっくりした時を持てた気分になる。雑用もこまごました整理もそれはそれでいっぱいたまっている。ずっと気になっている部屋の隅っこの汚れも放置したままだ。いったん何かに手をつけたら貧乏性の私、それにのめりこんで、てんやわんやの大騒ぎとなるは必定。せっかく家居を決め込んで、ゆったりじっくり過ごそうという気分になったのが台無しだ。なんだかやることがいっぱいあるようで、それでいてとりたてて何かをしようという気分にならない。
 人間、こんな時が最高の贅沢、最高の幸せかもしれない。こせこせ動き回るばかりが充実の証拠だなどと思っていませんか。文章や詩歌に時を割く、それが私にとっての充実の瞬間なのだが、それさえ忘れて時を過ごしてみたい、そんなきょうの気分なのである。こんな気分の日は滅多にない。これを称して「のんべんだらり」というのだろうが、「のんべんだらり」バンザイ、である。     
           (2016年9月24日)
Image may be NSFW.
Clik here to view.
イメージ 1


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1223

Trending Articles