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晩秋の公園

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 きょうは東区の黒門町公園に出かけた。むろん公園自体が目的で出かけたわけではない。その公園の近くの歯医者に相棒を送っていった次第だ。が、公園自体もなかなかの公園でそこはかとなく晩秋を感じ取ることが出来た。
 さて、この公園のベンチに座って相棒が診察を終えてやってくるまで待つことになった。閑散としていて、ベンチには誰もいなく、わずかに30代とおぼしき女性が、一人ブランコに座って揺するでもなく、ゆっくりと揺らしていた。彼女も私同様、人を待っていたのだろうか。紅葉や黄葉に彩られた樹々は私が画家なら絵筆を握りたくなる塩梅だった。私は周辺のドングリを拾い、紅葉の葉も数枚拾い、なんとはなしにそれらを地面に並べた。
 黒門町公園は都会のど真ん中、東区役所の近くにある。それでいて、実にひっそりとしていて、車の走る音すら聞こえない。喧噪から遠ざかり、まさに晩秋そのものが具現されていた。
   背を丸めベンチに座す我れ足元に紅葉葉きたり絡みつきたり
   人見ればわびしき老いと見えるらん晩秋の風受けつつ居れば
   どんぐりをおよびにつまみ紅葉の葉添えて並べし稚児のまねごと
 私はこの三首をメモに書き付け、さらに二句を得た。
   紅葉海独りし居れば救急車
   晩秋やブランコ女性と老いひとり
 やがて待っていた相棒がやってきたので、私はベンチからゆっくりと立ち上がり、あらためて園内全体を見回した。地面を風が時折り通り過ぎ、多くの紅葉や黄葉の葉が舞い上がった。30代とおぼしき例の女性は、依然としてゆっくりとブランコを静かに揺らしていた。
           (2016年11月16日)
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