「いじめ」問題

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　小中学校で「いじめ」が問題になっている。この問題は今に始まったことではなく、ずっと以前から問題視されている。けれども一向に解消されなくて蒸し返されている。最近では福島の原発問題に絡んで、そこから他県に避難した子供たちをめぐって問題化しているらしい。福島と聞いただけでバイ菌扱いされ「いじめ」の対象にされ、不登校化の原因になっている由である。
　さて、この問題は非常に根深いものがあり、容易に解消されそうにない。「根深い」というのはほかでもない。この問題は日本文化の根源にかかわっているからである。異質物の排斥、これである。
　ご承知のように、日本は島国で、かつ、単一民族である。細かい議論はさておいて、このことは周囲が海に隔絶され、同一の民族がとどまらざるを得なかったことを意味している。一言でいうと、日本全国まとめてムラ社会なのである。
　口では個性の尊重などというが、実際は個性を許さない社会なのである。ムラ社会を維持していくにはお互いの協力が不可欠だ。個性を許したのではムラ社会は成立しない。ここに「いじめ」の根元的な原因がある。
　よくも悪くも、自分たちとは異なる異分子を見付けては攻撃の対象とする。「臭い、汚い」に始まって「しょってる、威張ってる」等々、とにかく攻撃の対象は無尽蔵である。「バイ菌呼ばわり」はその一つに過ぎず、一つを解消させてもまた別の要因が問題になるのである。こうしたムラ社会は団結心で成立している。「出る杭は打たれる」は、まさにこの事実を言い当てている。団体競技などでは力を発揮するが、他方では「いじめ」問題を発生させる。私に妙案があるわけではないが、遠回りでも多様な価値観を認める社会になるようにもっていく努力が求められる。
　　　　　　　　　　　（２０１６年１２月１６日）