クリサンセマム

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　名古屋第一日赤病院の庭で珍しい花を見かけた。クリサンセマムである。私にクリサンセマムが分かる筈はないが、名札に「クリサンセマム」とあったので間違いない。通常、英語で「Ｃｈｒｙｓａｎｔｈｅｍｕｍ」は「菊」と訳される。日本の菊と同じか否か私には分からないが、清楚で気品のある美しい草花で、ノースポールに似ている。ノースポールなら東山公園で見かけた記憶がある。
　それはさておき、菊は通常秋に咲く花と承知していたが、クリサンセマムは早春に純白の花弁を開いていた。まさに、気品と清楚が一緒になった花だ。
　　　日赤にクリサンセマムの咲きにけり看護帽子のその色のまま
　　　楚々と咲くクリサンセマムに驚きて足を止めたり行き過ぎがたく
　菊は大菊から小菊まで種類が多く、色も黄色を始め、青色、赤色、紫色と様々ある。純白色の菊も大きさは様々。が、クリサンセマムのように、小菊で、かつ、早春に咲くものは少ないのではなかろうか。もしもノースポールなら丈が低く揃って咲く。大型の花壇に群生させれば、真っ白な雪のように、一面に咲きそろい、さぞかし見応えがあるだろうなと思った。
　が、何よりも名古屋第一日赤病院の庭で見かけたことが私を刺激した。誰も足をとどめる気配はなく、ひっそりと、つつましやかに咲いている。本当に、本当に、つつましやかで小さな、小さな花なのである。それが第一日赤という大病院の庭の片隅に咲いていたのだ。これが路傍に咲いていたのなら気づきもしなかったに相違ない。
　　　　　　春咲きの白菊そそと日赤に
　クリサンセマムと大病院。本当に似つかわしい。出来れば一画に、雪のように一面真っ白なノースポール仕立てのものがあったらな、と思った。
　　　　　　　　　　　（２０１７年３月４日）