Quantcast
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1223

返答に窮す

日々つれづれ-10トップへ
 一ヶ月ほど前。10月15日に、私はここ数十年独身生活を続けていることを記した。その際「食事はどうしてるの。洗濯は自分でしてるの」と問われてほとほと返答に窮したことを記した。が、偶然は重なるものである。十日ほど前、やはり返答に窮した場面に出くわした。高等学校同窓会の席上でのことである。
 雑談の流れの中で、「Aさんはどうしてるんだろう、Bさんはどうだろう」という話になった。私も顔と名前がうろ覚えのままの人を引き合いに出して会話に加わった。
「そういえばなんとかS子さんていたよね」
 すると女性陣の一人が言った。「S子さんなんていたっけ」
 ちょっと返答に詰まったが、別の女性が助け船を出してくれた。「S,Kさんのことじゃない?」。
 「そうそう」と私がいうと、「ああ、彼女ならもう数年前に亡くなってるよ」と返事があり、S子さんを巡る会話はそれでチョンとなる筈だった。ところが、私が余計なひとこと「亡くなったの?」と聞き返したので、しばし続行することになった。
 話題が途切れかけたとき、不意に私は問われた「彼女が好きだったの?」。そして別の女性から畳みかけられた。「だったんでしょ、ねえ」
 むろん、私は返答に窮した。予想だにしていなかった問いにとまどったわけだが、不思議に私は嫌な気分にならなかった。かえって私は堂々と言い訳めいた返答を行った。
 「その種の質問には返事のしようがないよ。好きじゃなかったなんて言えないし・・・。さりとて、ね」
 だよね。うんうんということになり、座は笑いの渦に変わった。食事、洗濯云々の場合と同じく返答に窮したものの、今回のような窮し方なら「あり」と思った次第である。
            (2014年11月20日)
Image may be NSFW.
Clik here to view.
イメージ 1


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1223

Trending Articles