不摂生

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　歯痛について本欄に一文を弄したのは９月１１日のことである。以来２ヶ月と１０日。若い頃の歯痛と異なって治癒に多少の月日がかかるだろうと覚悟はしていたが、ここまで長引くとは思いも及ばなかった。日数よりも参ったのは通院回数である。歯医者には現役時代十数回お世話になっているが、通常は二、三回、長引いても四，五回、つまり一ヶ月以上かかった記憶がない。ところが、今回、通院はなんと１４回にも及んだのである。むろん、その鬱陶しいことったらなかった。
　もうこんな思いをしたくないと思ったほど厄介で長い月日だった。治療経過を逐一記さなくとも、通院１４回に及んだという一事だけでその鬱陶しさはご推察いただけよう。この二ヶ月余にも建中寺、覚王山日泰寺、朝日遺跡はもとより、英会話クラブ、古代史の会、同窓会等々にほぼ欠かさず出かけているので、とりたてて活動に支障が出たわけではなかった。が、今回の通院を通じて思ったことがある。それは「若い頃からもう少し歯に神経を使い、まめに手入れを行っておけばこんなひどい虫歯にならずに済んだのに」という後悔の念だった。後悔先に立たずってやつである。
　歯とは別にもうひとつ後悔していることがある。喫煙である。私の喫煙歴は３０年もの長期に及び、多いときは一日二箱半、つまり５０本ものヘビースモーカーであった。禁煙後２０年余も経つのに、いまもって胸のつかえを覚えることがある。歯痛も喫煙もすべて若い頃の不摂生がたたっているに相違ない。暴飲暴食の方は慎んできたつもりだが、暴飲暴食も年輪を重ねるにつれ、そのしっぺ返しに苦しんでいる向きが少なくないだろう。
　こうした不摂生にまつわる苦言を年長者から聞かされても若い頃はうるさく感じただけだった。が、年長者はだてに歳をとっているわけじゃない。自分の経験に照らして助言してくれていたのである。
　　　　　　　　　　　　（２０１４年１１月２１日）