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Channel: 古代史の道
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一輪の木槿

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 前回、小牧市の喫茶店にデジタルカメラを置き忘れ、往復2時間半ほどかけて取りに行ったことを記した。つまり、二日連続で小牧まで車を飛ばしたのである。
 人によっては「たかがデジカメ、機会を見て取りにいけばいいだろうに」と思ったかも知れない。が、これにはある理由があった。人によっては、それこそ「理由にならない」、つまらない理由なのだが、喫茶店の横に、ある花が咲いていて、その花を一枚カメラに収めておいたのである。花の名は木槿(ムクゲ)、中国原産のアオイ科の低木だが、芭蕉の句にも詠われているように、日本に古くからある花だ。
     茶舗横に静かに咲きし花木槿      (桐山芳夫)
     道の辺に車列累々木槿咲く       (桐山芳夫)
     向きもせず木槿の横を人が行く     (桐山芳夫)
     昼下がり木槿笑みをるごとく咲く    (桐山芳夫)
     車照り強烈なるや咲く木槿       (桐山芳夫)
     手を振りて木槿と別れ茶舗に入る    (桐山芳夫)
 あわてて撮った一枚だったが、うまく撮れているか気がかりで、いわば、一輪の木槿見たさに小牧まで車を飛ばしたのである。あわよくば、もう二、三枚木槿の花が撮れないかという思いを胸に。
 この記録的酷暑が続く炎天下、たった一枚の木槿の花の写真が見たくて、つまり、理由の理の字にも該当しない理由で、私は連日小牧に向かったのである。これも、デジカメさえ置き忘れなければ必要なかった行為。自分のドジさ加減を改めて思い知ることになる、こんな一文を記しながら、それでも、たったひとつ、一輪の木槿に再会出来たことがよかった。そう思えなかったなら私はただの馬鹿である。
            (2018年8月11日)
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