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Channel: 古代史の道
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芭蕉名句二

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 芭蕉の有名な名句を二句に留めるのはいかにもうらめしい。とりあえず、次の三句ははずせない。
    閑(しず)かさや岩にしみ入る蝉の声    (松尾芭蕉)
夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡    (松尾芭蕉)
おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな    (松尾芭蕉)
三句とも、独立句として、誰にも分かる普遍性を持っている。第一句は奥の細道の紀行中、山形県の立石寺という山寺での作。が、全くそんな知識がなくとも、誰の胸にもストンと落ちる句である。第二句も同様。どこかの合戦の跡という理解で十分であり、第三句も祭りの後のむなしさが十分に伝わってくる。中学生の教科書に載せても十分に普遍性があり、教材に適している。
 さて、次の二句はいかがだろう。
      隠れ家や月と菊とに田三反       (松尾芭蕉)
      京に飽きてこの木枯や冬住ひ      (松尾芭蕉)
 これらは、芭蕉の句でありながら芭蕉自身の情感(本心)からずれている。どういうことかというと、前者の句は、芭蕉が世話になった大垣の船問屋木因(ぼくいん)の別邸を誉めたものであり、後者の句は、上方から江戸へ向かう途中、愛知県三河新城の門弟耕月宅に立ち寄った際の、いわば挨拶吟。当然単独句として分からない句である。
 が、挨拶や礼儀を欠かさない芭蕉の誠実さが発句ににじみでている。

    思い出すブ-ゲンビリア竹富の     (桐山芳夫)
           (2019年5月30日)
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