歯痛の一刺し

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　歯痛について本欄に初めて一文を弄したのは昨年の９月１１日。なので、以来半年も経つ。が、なかなか完治しない。半年も完治しないのは異常というべきだが、それだけ歯がガタガタになっているということだろう。むろん、半年間もの間、連続して治療し続けているわけではない。途中で二ヶ月ほど治癒状態の時があった。が、それを割り引いてもつごう四ヶ月もの間、歯科医院に通い続けていることになる。
　歯の治療はほぼ週に一回のペースなので、もう２０回ほども通院していることになる。削り取ったり、型を取ったり、抜歯したりと一本の治療に三、四回、場合によっては五、六回にも及ぶ。なので、２０回通っても治療の対象は四、五本にしか及ばない。
　一度でも治療経験がある人ならお分かりのように、歯痛は耐え難く、すんなりと完治するものではない。長い長い期間を要し、苦しめられる。「もういい加減にしてよね」と叫び出したくなる。が、泣こうとわめこうと逃れられない。こんなことなら虫歯にならないよう普段から気を付けておけばよかったと思っても手遅れ。
　すべて完治するまであとどのくらいかかるか見当もつかない。けれども、何事にも自信の持てない私でも珍しく自信をもって断言出来ることがある。そう、「歯痛に罹りめさるな」、これである。世に悪魔の仕業は数々あれど、歯痛ほど厄介なものはありません。チクチク、ズキズキ、間断なく続き、「地獄の沙汰もなんとやら」というが、歯痛だけはいくら札束を積み上げても容赦なく続く。歯を削られ、時には抜かれ、次の措置に移るまで一週間も待っていなければならない。脅かすわけではありませんが、歯痛の苦しみは地獄の苦しみですぞ！。いかなる説法も高邁深遠な宗教も哲学も歯痛の前では何の力にも慰めにもならない。百の説法歯痛の一刺し！。おのおの方、間違っても歯痛にだけはお罹りめさるなよ！！！。
　　　　　　　　　　　　（２０１５年３月９日）