退屈な日々

日々つれづれ－１２トップへ
　パソコンの画面とにらめっこするのは、まだ万全にはほど遠い左眼には悪いだろうな、と分かっている。しかし、これまで飛び回っていて、じっとしていることが出来ない私には何もしないでじっとしているのは耐え難い。本も読めず、テレビをぼんやり眺めているばかりの日々は辛い。子供じみているが、退屈で「ぎゃおー」と叫びたくなる。
　こうして好きな文章を綴ってでもいないと身がもたない。その文章も長時間に及ぶと、眼の奥が疼く。厄介である。五体満足なのに・・・。
　このような私の許へ時折訪ねてくれる女性がいる。訪ねてきてくれて、日となり蔭となって慰めてくれる。例の相棒だ。このような私でも、たった一人ではあるが、話し相手になってくれる。けれども、その相棒も数日に一度くらい、数時間で帰ってしまう。感謝の言葉もない私であるが、大部分の時間はたった一人で過ごす、いわば謹慎中のような身の日々である。
　　　所在なく過ごす我が身のしおるればベランダに出でて日を浴びてみる
　　　退屈はかくなるものか室内を行きつ戻りつ戻りつ行きつ
　　　水槽の金魚にエサをひとつまみかくて時間は空しく過ぎゆく
　いずれにしろ、退屈という時間を知らずにこれまで生きてきた私。退院後もこうして過ごさねばならないとは思いも及ばなかった。これを機会にこの時間を貴重な時間と捉え、来し方を振り返ってみればよさそうなのに。振り返る習慣のない私。前へ前へとすすむばかりでやってきた私。少しも内省的にできていない私は、ただ退屈さに耐えることしか出来ない。
　さりとて急に内省的にはなりようがなく、ただただなすすべもなく、こうして時間をやり過ごすしか能がない私なのである。
　　　　　　　　　　　（２０１５年８月２１日）