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Channel: 古代史の道
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流れに棹さす

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 ご存じの方もおありかと思うが、文化庁は平成7年度から毎年「国語に関する世論調査」を実施している。色々な事柄について調査を行っているが、マスコミに取り上げられやすいのが言葉の意味の誤解、誤用調査である。中でも取り上げられやすい代表例を二つ紹介しよう。「流れに棹(さお)さす」と「気が置けない」の二つだ。
 「流れに棹さす」は「舟に乗って進むとき竹ざおをさしてうまく流れに乗る」ことから「傾向に乗る」というほどの意味だが、これと反対に「逆行」の意に解している人が60%近く(59.4%)に達している。また、「気が置けない」は「心置きなく」という言葉で分かるように「心配ない」という意味だが、反対に誤解している人(47.6%)が適解者(42.7%)より多くなっている。
 この調査、私には意味があるとは思われない。いまどき「流れに棹さす」などという言葉を使用する人はほとんどいないだろう。それよりもっと問題なのは間違えやすい言葉をわざわざもってきて調査している点だ。「棹をさす」といえば舟をとめるために使うと誤解されやすい。また、「気が置けない」は「気を委ねることができない」(心配だ)という風にとられかねない。こういう誤解されやすい用語を選んできて聞けば誤解者が多くなるのは当たり前ではないか。どこか言語学者の意見が反映している調査に思われてならない。わざわざ間違えやすい用語を示して「どうだ、やっぱし間違っているだろう」と得意顔をされているようで、あまり感じがよくない。
 私は逆だと思う。「流れに棹さす」とは「これこれこういう意味です」と分かりやすく説明し、「その意味を知っていましたか」という設問にしないと、誤解はなくならないし、啓蒙効果も得られないと思うがいかがであろう。
 とにかく、せっかくの世論調査、「感じ悪うっ」ってならないように願いたい。
              (2014年9月25日)
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