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Channel: 古代史の道
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ある寺の不思議

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 三日前、寺めぐりの一環として、中川区の宝珠院(ほうじゅいん)と空雲寺を訪ねた。10月14日に昭和区の神宮寺と香積院(こうじゃくいん)を訪ねて以来だから、三週間ぶりの寺めぐりだ。えっ、「元気ですね」ですって。多少体調がいいので樹木に囲まれた神社や寺に足を運んで元気をいただこうと思って・・・。
 さて、宝珠院は不思議な寺である。創建は天平元年(729年)というから滅法古く、奈良時代初期。古刹(古寺)中の古刹といってよかろう。天平年間といえば、万葉集で名高い大伴家持(やかもち)が越中富山に赴任していた頃だ。奇しくもその時代の歌に歌に取り組んでいる最中だ。
 ところが不思議なのはこの寺が弘法大師ゆかりの 寺として標榜しているらしいことだ。寺頭に掲げられた掲示板に「名古屋三弘法第一番、なごや七福神大黒天、・・・」と大書されている。どいうことだろう。寺の開山は泰澄大師と伝えられている。泰澄(たいちょう)といえば奈良時代の高僧。一方、弘法大師(空海)はよく知られているように、100年ほど後に活躍した大師。
 一世紀も前に開山された、私流に言えば大書も大書、トップに掲げられてしかるべき事柄。その事実が全く寺頭掲示に書かれていないのはなぜか。不思議に思った私は受付に立ち寄ってパンフレットを求めたが、切らしているとのことだった。
 まさかとは思うが、開山した泰澄よりも弘法大師の方が有名だから「名古屋三弘法第一番」として押し出したのだろうか。有名だから云々では泰澄が泣く。そんなことが理由ではあるまいと私は信じているが、いかがであろう。寺経営にとって弘法大師の方が有利(?)。まるで、「地獄の沙汰も金次第」を地でゆくような話だと思って私は不思議でならなく、一筆啓上した次第である。
           (2016年11月8日)
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