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Channel: 古代史の道
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万両の実

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 路傍で万両に出会った。正確にいうと植物にうとい私の目には万両に見えたというべきかも知れない。似たような名の木に千両がある。が、千両とはやや違うと思えるので万両と決めつけることにした。
 千両も万両もその名のとおり寿(ことほ)ぎの木で縁起のいい木である。名前からすると万両は千両の十倍なので、十倍めでたい木ということになる。が、なぜか千両の方が人気がある。少なくとも、千両の方が万両より名が知られている。派手な名の方が地味な名の木より地味に思われている。何故だろう。不思議である。
 それはさておき、千両も万両も、冬に濃い紅色の鮮やかな実をつけ、正月を彩ってくれる。わが国では万物が枯れる冬季の庭、そんな中にあって、小さく鮮やかな紅い実をいっぱいつける万両はひときわ目立つ存在だ。お正月を寿ぐのにうってつけの存在といってよかろう。
 お正月には少々間があるが、それでも万両の実に出会ったことは、何となく、明るく華やかな気分に包まれる。
     万両や夫(つま)亡く夫の生まれし家   今井つる女
 という俳句がある。生まれ育った家で亡くなった夫を偲んで出来た一句である。このこと自体は寿ぐことではない。それどころか悲しみが押し寄せて来る心情だ。が、にもかかわらず、いっぱいに実をつけた万両の紅い実はこの句にぴったりだ。悲しみは忘れられるものではない。が、それを乗り越えて生きていかなければならない。その辛さと現実がよく捉えられた万両の句である。
     万両にそっと触れてみし吾子思い
 万両、めでたいような、それでいて過ぎゆきし日々を思い起こさせる実である。
           (2016年12月9日)
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