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ワタボウシ

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 私は毎月一回あま市にある耳鼻咽喉科に通院している。道路を挟んでその前に野畑があって、季節により、種々の草花が咲いている。運がいいと、カボチャ、ナス、トマト、ダイコン等々の野菜類ばかりでなく、菊、キキョウ、アネモネ等の花も野畑を彩っている。今月はどんな花が咲いているのだろうと楽しみでもある。
 今月、私は意外な花に出会った。タンポポに混じって綿をかぶったような草花だ。背が低くて目立たなく、花だか単なる草だか判然としない。病院の横を流れる川辺にも小がたまりになって咲いている。
 注意するともなく眺めていたら、ふっとワタボウシという言葉が浮かんだ。同時に、むしょうに懐かしい思いに捉えられた。遠い、遠い、かすかな、かすかな思い出、たとえば幼児の頃のかすかな記憶である。
   たどれないあまりにかすかな記憶糸何が私の過去をくすぐる  (桐山芳夫)
   たとえれば半ズボンはき転げ回る幼児世界に運ばれしごと   (桐山芳夫)
   ワタボウシなにゆえわれの幼児時に飛びて微笑み風に揺れるや (桐山芳夫)
 この草花がワタボウシなのか否か分からない。否、ワタボウシという草花があるかどうかさえわからない。が、ふっとワタボウシが浮かんだのはなぜだろう。
 帰宅してインターネットでワタボウシと入力し、画像検索をしてみた。すると、私の見たものと同じとおぼしき画像が出てきた。何という名の草花か分からない。ワタボウシという言葉で検索したのだからワタボウシなのだろう。
 が、画像検索で見つかったからといって、私の疑問は解消されたわけではない。なぜ、この小さな草花が私を刺激し、私を遠い遠い幼児世界へと運びこんだのか。タンポポとワタボウシが同時に咲いていたからだろうか。謎のままである。
            (2017年4月23日)
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