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Channel: 古代史の道
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篠島行

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日々つれづれ-15トップへ
 一昨日、台風3号が襲来する前にと思って篠島を訪れた。相棒にせがまれていたので、足をのばした次第。一ヶ月前に日間賀島に行ったばかりだが、妙に離島が気に入ったようで、訪れることにした。2002年7月以来の篠島行きなので、15年ぶりの訪島だ。
 いうまでもなく篠島は愛知県の島で、日間賀島の隣の島。港に着いて、篠島に下り立ったとき、私は奇妙な感覚に襲われた。故郷に戻ってきたというのに似ているが、一歩前に踏み込んだ感覚だった。自分の実家に帰ってきた感覚で、ほっとした感覚だ。実家どころか故郷でもない島なのに、不可思議なことだ。
 間に挟まった15年という歳月は全くなくなっていた。一週間ほど前に家を出て帰宅してきた感覚なのである。漁港に多くの漁船が係留されている光景も、あちこちに咲いている夾竹桃の木々も全く15年前と同様だった。極め付きは木島だ。食堂で遅い昼食をとったあと、とことこと歩いて行った先。海の向こうに浮かぶ木島の前に立った時、なつかしさで、思わず涙ぐみそうになった。
   篠島の鼻の先なる無人島手招きしつつ我を呼ぶなり    (桐山芳夫)
   歳月を知らぬがごとく悠然と小さな木島浮かんでいたり  (桐山芳夫)
 「人間の一生なんてケチなものよ」などと利いた風なことは言いたくない。自分の歩いてきた歳月はそのまま私の歳月として受け入れたい。
 しばらくして帰途についた。背後から、小トラックに乗った中年女性が「よかったら乗りませんか」と声を掛けてくれた。食堂で勘定をしていた女性だった。少々疲れ気味だったので、私も相棒も大いに助かった。
 「島の人って親切なのね」
 相棒は満面に笑みを浮かべ、有り難がった。その笑顔までもたらしてくれた篠島に感謝しないではいられなかった。
           (2017年7月5日)
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