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前回、一昨日の史跡めぐりで最も印象深かった弥生遺物としてガラスの小玉に言及した。むろん、ガラスの小玉以外にも興味深かったものはワンサとある。中でも円窓付土器(まるまどつきどき)と紡織遺物に強い興味を抱いた。論文化出来るほどの知識もなければ能力もないので、本欄で取り上げよう。いわゆる朝日遺跡関連エッセイのパート2である。
円窓付土器が朝日遺跡から出土したくらいの記憶はかすかにあったが、実物は見たことがなかった。実に不思議な土器である。壺の胴体に円い大きな穴があいている。人の拳がすっぽりと入ってしまう大きな穴だ。かすかな記憶では朝日遺跡だけのユニークな土器だった。が、WEBでちょっと調べてみると、近年、愛知県以外でも円窓付土器の発掘が相次ぎ、たとえば、滋賀県守山市、京都府亀岡市等々で発掘され、少なくとも14遺跡から発掘報告が行われているという。
が、私たちの最大関心事は「なぜそんな土器を作ったのか。何に使ったのか」という点にあると思われるが、その解答は得られていないようだ。「鳥の巣箱だったのではないか」とか「灯籠にしたのではないか」とか実に様々なアイディアが出ているようであるが、決定打に至っていない。例示の巣箱説では鳥の羽や糞の痕跡がなく、灯籠説ではススだの燃えかすだのの痕跡がない、といった不審点があるためだ。つまり円窓付土器の存在は謎に包まれたままなのである。ガラスの小玉も大きな謎だったが、今回の円窓付土器も別の意味で謎として私たちの前に立ちはだかっているのである。
が、こうした謎に包まれている点こそが考古学や古代史の魅力なのである。謎は私たちの好奇心や探求心を刺激し、汲めども尽きぬ魅力を生み出しているのである。一見些細な謎に見えるかも知れないが、この円窓付土器の謎一点に絞って探求してみるのも、限りない生き甲斐をもたらしてくれるような気がするのである。他者が解けなかった謎を解き明かした人こそが学問の進歩に寄与したとして崇められるべきだと私は思うのである。
(2014年11月1日)
前回、一昨日の史跡めぐりで最も印象深かった弥生遺物としてガラスの小玉に言及した。むろん、ガラスの小玉以外にも興味深かったものはワンサとある。中でも円窓付土器(まるまどつきどき)と紡織遺物に強い興味を抱いた。論文化出来るほどの知識もなければ能力もないので、本欄で取り上げよう。いわゆる朝日遺跡関連エッセイのパート2である。
円窓付土器が朝日遺跡から出土したくらいの記憶はかすかにあったが、実物は見たことがなかった。実に不思議な土器である。壺の胴体に円い大きな穴があいている。人の拳がすっぽりと入ってしまう大きな穴だ。かすかな記憶では朝日遺跡だけのユニークな土器だった。が、WEBでちょっと調べてみると、近年、愛知県以外でも円窓付土器の発掘が相次ぎ、たとえば、滋賀県守山市、京都府亀岡市等々で発掘され、少なくとも14遺跡から発掘報告が行われているという。
が、私たちの最大関心事は「なぜそんな土器を作ったのか。何に使ったのか」という点にあると思われるが、その解答は得られていないようだ。「鳥の巣箱だったのではないか」とか「灯籠にしたのではないか」とか実に様々なアイディアが出ているようであるが、決定打に至っていない。例示の巣箱説では鳥の羽や糞の痕跡がなく、灯籠説ではススだの燃えかすだのの痕跡がない、といった不審点があるためだ。つまり円窓付土器の存在は謎に包まれたままなのである。ガラスの小玉も大きな謎だったが、今回の円窓付土器も別の意味で謎として私たちの前に立ちはだかっているのである。
が、こうした謎に包まれている点こそが考古学や古代史の魅力なのである。謎は私たちの好奇心や探求心を刺激し、汲めども尽きぬ魅力を生み出しているのである。一見些細な謎に見えるかも知れないが、この円窓付土器の謎一点に絞って探求してみるのも、限りない生き甲斐をもたらしてくれるような気がするのである。他者が解けなかった謎を解き明かした人こそが学問の進歩に寄与したとして崇められるべきだと私は思うのである。
(2014年11月1日)
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