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Channel: 古代史の道
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三つ子の魂

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 一昨日、恒例の高等学校同窓会が中区栄で開催された。恒例というのはほかでもない。9年前に第一回がもたれて以来毎年行われ、すっかり恒例行事化しているからである。同窓会は全国至る所で無数に開かれているに相違なく、第9回目を迎えたからといって特記するほどのことはあるまい。
 さて、同窓会の時期が到来するたびに必ず思い出すことがある。S君のことである。彼は配られた答案用紙を名前だけ記入して白紙のまま提出したり、哲学にはまっていて、ひょうひょうとした態度に終始するなど、極めて個性的な高校生だった。そのためか彼のことは頭にこびりついていて、この時期になると「いまごろ彼はどうしているのだろうな」と気になるのである。彼は9年続く同窓会に一度たりと顔を見せたことがない。が、今回その彼が顔を見せた。私には降って湧いたような突然の出来事である。
 今の私なら彼の奇行は単なる反抗心の表れであり、哲学云々もたんに哲学かぶれの若者としか映じないだろうが、非常に個性的な存在であることに変わりはない。彼は幹事に促されて自己紹介の場に立たされた。私は固唾を飲んで彼の第一声を待った。一瞬間をおいて彼は切り出した。「えー、私はこの歳になるまで生きるつもりはなかったのですが・・・」。さすがにS君である。普通なら「みなさんご無沙汰しております」とかなんとかと切り出しそうなところである。
 後に私は彼の席に出向いてしばらく会話を交わす機会を得た。話が就いた職業のことに及んだとき、彼は税理士として生計を立ててきたことを述べた後、言った。「最も嫌いなことが職業になってしまったのだけれど・・・」。これまた、いかにもS君らしい発言に思われた。言わずもがなの発言だが、高齢になってなお彼独特の矜持が顔を覗かせたのだろうか?。「三つ子の魂百まで」、こう私は思わずにいられなかった。
            (2014年11月13日)
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