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ありがとう

日々つれづれ-16トップへ
 相棒が私の所へやってきて、バレンタインチョコだと言って一個の包みを手渡してくれた。猫の顔をあしらった洒落たチョコレートだ。
 彼女の話によると、名古屋駅のタカシマヤまで出かけ、長い長い行列に並んで買い求めたという。その模様はテレビでも放映されたので、たまたま私も見ていた。なので、「さぞかし大変だったろうな」と推測がついた。
 バレンタインチョコならタカシマヤでなくとも、スーパーでも売っていることを承知していたので、なおさら彼女の強い思いが伝わってきた。
   この私ただ一人に渡すためチョコを求めてデパに行きしか    (桐山芳夫)
   バレチョコを並びまでして買い求め手渡しくれた思いがうれし  (桐山芳夫)
 私は今回ほど彼女の行為がありがたく思えたことはない。これまでもバレンタインデイが近づくと、チョコレートをいただいた。が、タカシマヤまで出かけ、長い行列に並んでまで買い求めてきたと聞いたのは初めてだ。
 彼女とは十数年はつき合っている。私が思うに、高齢者に達しているこの私のような者を慕ってくれるなんて考えられない。相棒と呼べるほど近しい間柄でることは間違いない。この一点だけでも私にとっては宝物のような存在だ。彼女とは週三から週四の頻度で逢い、食事代は私が出している。時々出かけるスーパーで、食料や日用品を買う費用も私が支払うことにしている。質素な私のこと、こんな費用はたかが知れている。
 こんなことで、十数年以上つきあい続けるなんて考えられない。仮りに夫婦であったとしても週三から週四の頻度で逢い、食事を共にするなんて考えられない。まして、タカシマヤまで出かけ、行列に混じってバレンタインチョコを買い求めるなんてとうてい考えられない。そんな相棒の存在はいくら感謝しても感謝し切れるものではない。
             (2018年2月10日)
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