刺し身御膳

日々つれづれ－１６トップへ
　ここ一年半、私は英会話クラブの例会に出席する時は、途中にある名古屋クラウンホテルに立ち寄ることにしている。一杯のコーヒーを注文し、一服してから例会場に向かうことにしている。クラウンホテルは名古屋観光ホテル、リッチモンドホテル、ヒルトンホテル等いわば著名ホテルが建つ一画にある。
　一昨日もそこで例会前に一服したのだが、実は例会後の夜８時頃同ホテルに立ち寄った。目的はそこのレストランで食事をするためである。夕食ならこれまでもいくらでも立ち寄ることが出来た。いつもの習わし通りだと、家の近くの食堂に寄って食べるのだが、それだと９時半を回ってしまい、健康にもよくない。なので、８時頃食べるのは遙かに合理的なわけだ。
　これまで、なぜそうしなかったかといえば、理由はきわめて単純。著名ホテルは高級というイメージがあって、年金暮らしの私には敷居が高かったのである。が、試しに一度入ってみるのも悪くはなかろうと心に決めて立ち寄った。
　店の名は四季というが、座ってメニューを見て少々驚いた。値段はさほどでもない。英語で言えば、リーゾナブルだ。私はやや安堵して、刺し身御膳を注文した。１７５０円なりだ。現役時代、接待等でこれより遙かに高級な料理を幾度も経験している。が、そうした料理に比べて、四季で味わった料理は少しも遜色がなかった。
　否、ありていに言えば、そのおいしかったこと、おいしかったこと。過去に味わった５倍も６倍もしたであろう会席料理なんかよりも、１７５０円の今回の料理の方が遙かにおいしかったのである。これはどうしたことだろう。
　私が思うに、これは、自分の意志で、かつ、誰に気兼ねすることもなく、自由に食べた料理だったからに相違ない。つまり、高級だの手頃だのは心理的要素が強いのである。
　　　　　　　　　　　　　（２０１８年２月１９日）