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半世紀ぶり

日々つれづれ-16トップへ
 先日、日赤病院で大変珍しい人に出会った。なんと中学の同級生である。「ああ、○○君じゃないか」と言って声をかけてきた。顔を見て一瞬とまどったが、すぐに同窓生だと分かった。彼の話によると、胃ガンを煩って3回も手術し、治ったものの、完全に完治したかどうか、年に一回、日赤に来て検査を受けているという。
 実は、彼の名前が思い出せず、苦しんだ。相手が当方の名前と顔を知って声をかけてきたのに、こちらが知らないとは言えず、会話中になんとか思い出そうとしたが、果たせなかった。彼が去った後、受付の女性に事情を話して名前を教えてもらおうとした。が、プライベートなことは申し上げられませんと断られた。
 なにしろ、半世紀以上も顔を合わせていない相手。私は3ヶ月に一回。相手は一年に一回しかこないその病院でぱったり顔を合わせるなんて、不思議といえば不思議。もっと不思議なのは顔を合わせたとたん、顔と名前が分かった相手の能力だった。
 以来、誰だったのだろう、と気にかかって頭から離れなかった。仮りにA君としよう。
 私の頼りは料理店をやっているN君だ。N君とも偶然に出会ったのだが、こちらは月に一度くらい店に行くので、馴染みになっている。A君もN君も私と同じ同クラスだった同窓生。胃ガンで3回も手術したということなので、噂くらいはN君が聞いているかも知れない。そう思ってN君からA君の名を聞き出せると思っていた。
 そのN君の店に昨日行って、彼に状況を説明し、A君の名を聞き出そうとした。
 「うーん。ガンで手術した同窓生ってのは聞いたことがないなあ。きっと同窓会には出てきたことがないんじゃないのかな」
 これが彼の答えだった。同窓会にほぼ毎回出ている彼が言うのだから間違いない。とすると、文字通り半世紀ぶりに出合った相手の顔と名前を覚えていたことになる。不思議!
             (2018年2月27日)
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