間々観音

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　今週はずっと忙しかった。妹の息子、すなわち私の甥ががんで入院。ついで、末弟がバスから下車する時、転倒して、病院に運ばれた。詳細は一切割愛するが、見舞いや打ち合わせ等々で、物理的なこともさりながら、気が急いて落ち着かなかった。 一昨日は相棒からアッシー君を頼まれた。入院中の母親の見舞いや雑用があってのこと。
　前回のアッシー君の際は待つこと６時間に及んだ。そこで、今回は最終時間のおよその見当だけ聞いておいた。３時間前後かかるだろうという。連絡を受けてもすぐ駆けつけられるように、近在の神社仏閣を巡り歩くことにした。結果的には二カ所回った。
　最初は間々観音に行った。これまでも間々観音とその周辺には数回立ち寄っているが、ゆっくりと訊ねるのは初めてだった。『間々（まま）観音』（龍音寺）は日本で唯一の「お乳のお寺」である。乳房の発育はもとより、安産、育児、健康等々に御利益があるとされる寺である。手水場に、オッパイのかたちをした胸の造作物があって、乳首の先端から水が細く出て来るようになっていた。
　私はお賽銭を投げ入れながら、これまでと同じように、願い事を口元でつぶやいた。これまで、おそらく、５、６００カ所の神社や寺を回り、毎年のように訪れている社寺もあるので、お賽銭は１０００回余は投げ入れていることだろう。そのたびに何らかの願い事をつぶやいている。が、なんらかの御利益があったとは思わない。ただ、全く微々たるお賽銭ながらも寺社の存続に役立ったかも知れない、と思うことは愉快なことである。
　願い事をつぶやいたから効能があったとは思わないが、こうして自分の足で本殿なり本堂なりにたどり着き、合掌する、その自分がいることこそ、最大の御利益じゃなかろうか。
　思えば、身近な人間が入院などをしていく中、自分自身が見舞われるのではなく、逆に見舞う立場にいることこそ、感謝しなければなるまい。
　　　　　　　　　　　　　（２０１８年３月２日）