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Channel: 古代史の道
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母校に出くわすその二

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 前回に母校に出くわし、なつかしさより、実家に入ったような親しみを覚えたことを記した。私は挨拶だけして帰ろうと、校長室を訪れた。私が、特に用事があるわけではなくて、たまたま立ち寄った旨を告げた。すると校長は大いに歓迎の意を表され、校名の変更についてこう説明された。
 「随分前、13年ほど前に西陵商業高校から西陵高校に改称しました」
 これをきっかけに私たちは、しばし、ラグビー部が全国制覇を果たしたことに話題を集中させた。私は言った。
 「在校時、私は新聞部に属していましたので、ラグビーの試合の取材に瑞穂グランドまで出かけたことがあります」
 「そうでしたか。ラグビー部の全国大会優勝を記念して記念碑ができています。ご案内いたしましょう」
 校長の先導に従ってついていくとグランドの一画に立派な記念碑が作られていた。私は丁重に礼を述べ、帰途につくことにした。すると、十五、六人ほどのラグビー部員とおぼしき生徒たちが校門の両側に並んでいた。私はなんどもなんども「ありがとう」を繰り返し、車に乗り込んだ。校門の両側に並んでいた生徒たちがいっせいに頭を下げ、私を見送ってくれた。
 私は生徒たちと会話らしい会話をしなかった自分を悔いた。せめての償いにと、車の窓を開け、「ありがとう、ありがとう」と言いながら手を振った。先輩とはいえ、よたよた歩きの見知らぬ老人に、そこまで丁重に見送るのか、と思うと、涙がにじみ出てきた。
   居並びていっせいに頭下ぐ生徒らのあまりの行為にしみ出る涙 (桐山芳夫)
   さようならわが学舎の西陵よ心に刻み離れてゆけり      (桐山芳夫)
            (2018年6月11日)
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